チャリン渓谷、カザフスタン
チャリン渓谷は、自然や地質学的な遺産を保護する目的で設立されたチャリン国立公園内に位置しています。この国立公園は2004年2月23日に設立されました。公園の区域内には、レッドデータブックに登録された多くの希少で絶滅危惧種の動物が生息しています。
公園内のサリトガイ地区には、非常に珍しい木々が生息している保護林があります。その中でも注目すべきは、パレオゲン時代(約6500万年前から2300万年前)にまで遡るソグディアナトネリコです。また、アスペングローブ(ポプラ林)も特異な存在で、同様の林は北アメリカにも見られるのみです。このアスペングローブは、ユネスコの保護対象となっており、その歴史は約500万年前に遡ると言われています。
しかし、この公園で最も有名なのは、間違いなくチャリン渓谷です。この絵画のような原生の土地は、見る人を天国のような景観で驚かせます。渓谷の深さは約200メートルに達し、断崖の高さは150~300メートルにも及びます。この渓谷は、1200万年以上前の堆積岩によって形成された自然の記念碑ともいえる存在です。夕日の時間帯になると、渓谷は深紅、ピンク、オレンジ色に染まり、その美しさは言葉に尽くせません。周囲は静寂に包まれ、谷底からはチャリン川が岩壁にぶつかり泡立つ音だけが聞こえてきます。この景色は誰の心にも深い印象を与えることでしょう。
渓谷の中でも特に有名なのが、「城の谷」と呼ばれる地域です。この地形は、まるで巨人たちが作り上げたかのような塔の形をした岩の堆積物が並んでいます。「城の谷」の長さは2キロメートル以上に及び、場所によっては幅が20メートルから80メートルに広がることもあります。
また、チャリン渓谷はその多様な地形のおかげで、豊かな動植物の生息地となっています。ここでは、約1500種の植物が確認され、そのうち17種がカザフスタンのレッドデータブックに登録されています。また、62種の哺乳類、103種の留鳥、そして25種の爬虫類が生息しています。
公園には観光客が快適に過ごせるような設備が整えられています。公園のスタッフは観光客を案内し、渓谷の歴史について詳しく説明してくれます。