ジャミ・モスク、コーカンド
ジャミ・モスクは、コーカンドのチョルス広場を象徴する建築物です。この壮麗なモスクは、街の風景に溶け込んでおり、市民にとって欠かせない存在となっています。実際、9世紀から12世紀の歴史記録には、同じ場所に存在したコーカンドのモスクについての記述があります。しかし、モンゴルの侵略により、当時のモスクと街全体が破壊されました。
現在のジャミ・モスクは19世紀に建設されました。1805年、コーカンドの統治者オリムハンが建設を開始しましたが、資金が一般市民から強制的に集められたことに対する反対により、一時中断されました。その後、1814年に、オリムハンの弟である啓蒙的な統治者ウマルカンが建設を再開しました。彼はウラトゥベから優れた建築家を招き、200人以上の熟練した職人を率いて建設を進めました。2年後、モスクは完成し、その美しさはコーカンドを超えて広く知られるようになりました。
モスクには広大な中庭があり、西側にはハナカ(礼拝ホール)と98本の柱で支えられた大きなアイヴァン(柱廊)が配置されています。これらの柱は金色で繊細に彩色され、特別な芸術作品とされています。ハナカの天井には美しい装飾が施され、モスクの壁には繊細なガンチ彫刻が残されています。
中庭の周囲にはフジュラ(教室)が配置されており、かつてモスクに併設されていたマドラサ(イスラム神学校)の一部でした。マドラサは1918年まで、モスクは1930年まで運営されていました。
中庭の中央には高さ22.5メートルのミナレットがそびえ立ち、ムアッジンがここから信者たちを祈りに招いていました。このミナレットは滑らかな円形の焼きレンガで造られ、頂上にはファセットドームが飾られています。頂上からはコーカンドの街並みを一望することができます。伝説によれば、かつて犯罪者や不貞を働いた者がこのミナレットから落とされたといわれています。ジャミ・モスクの建築の美しさと荘厳さは、ブハラやサマルカンドの建築記念碑にも匹敵するものです。