フドヤル・ハン宮殿、コーカンド
コーカンドの象徴的な建築物であるフドヤル・ハン宮殿は、コーカンド・ハン国最後の統治者フドヤル・ハンによって1871年に建設されました。この壮麗な宮殿は、中央アジア建築の伝統を反映し、中央に高い門、大きな入口アーチ、そして4つのミナレットを備えています。門の両側とファサードの両端に配置されたミナレットが、宮殿全体に壮大な雰囲気を与えています。
彫刻が施された石壁に囲まれた宮殿は、かつて7つの中庭と119の部屋で構成され、総面積は約4エーカーに及びました。宮殿は3メートルの高台に建てられ、正門にはアラビア語で「偉大なるサイード・モハマド・フドヤル・ハン」と刻まれていました。この壮大な建築には、16,000人の労働者と80人の職人が関わり、1,000台の荷車が動員されました。しかし、多くの労働者が過酷な環境下で強制労働を強いられ、違反には厳しい罰が科せられました。宮殿の装飾は非常に豪華で、正面はカラフルなセラミックタイルによる幾何学模様、アラベスク、花のモチーフで飾られています。それぞれのパターンは一度描かれると繰り返されることがなく、独特のデザインが特徴です。ファサードの明るく鮮やかな色彩は、東洋の物語に登場する宮殿を連想させます。
残念ながら、当時の壮麗な宮殿群のうち、現在まで残されているのは2つの中庭と19の部屋だけです。宮殿内部の装飾には、ガンチ彫刻や絵画が重要な役割を果たしています。ガンチのパネルには、糸杉やシダレヤナギなどの様式化された木々や、絡み合う植物、葉、花のロゼットなどが繊細に描かれています。
現在、この宮殿は博物館として利用されており、コーカンドの歴史や文化について展示されています。