ダルヴァザ・ガスクレーター へのグループツアー (ヒヴァから)

マルギラン・シルク工場

マルギランは、ウズベキスタンで最も古い都市の一つであり、フェルガナ盆地の古代交易路の交差点に位置しています。この都市は、中央アジアで最高品質のシルクを生産していたことで知られ、その美しさと品質は中国のシルクに匹敵していたとされています。マルギランで生産されたシルクを積んだキャラバンは、シルクロードを通じてカシュガル、バグダード、ホラーサーン、さらにはギリシャにまで運ばれていきました。

シルクの生産技術は、シルクロードの発展とともに紀元前2千年紀半ばに中央アジアに伝わったとされています。伝説によると、フェルガナの統治者が家臣に命じ、中国の職人からシルク織りの技術を密かに学ばせたことが、両国間の戦争の原因になったともいわれています。

ウズベキスタンの「ハン・アトラス」(伝統的なシルク製品)は、ほぼ完全に手作業で作られています。フェルガナの職人たちは、繭から糸を紡ぎ出し、それを染色する独自の技法を約4千年をかけて発展させてきました。こうして生産されるマルギランのシルクは、世界でも最高級のシルクのひとつとして評価されています。

「ヨドゴルリク」シルク工場、マルギラン、ウズベキスタン
「ヨドゴルリク」シルク工場、マルギラン、ウズベキスタン
「ヨドゴルリク」シルク工場、マルギラン、ウズベキスタン

マルギランには2つの絹工場が設立されています。そのうちの1つは、中央アジアで「ハン・アトラス」を生産する最大規模の工場です。この工場では、世界中で需要の高い布地を毎日最大2.5キロ生産しています。生産工程の大部分はコンピューターによって管理されています。一方、絹の生産を完全に手作業で行っている唯一の工場は、マルギランにある「ヨドゴルリク」工場です。

「ヨドゴルリク」工場は1972年に設立されました。現在、約450名の従業員が働いており、その多くが女性です。この工場では、毎月最大6,000メートルの生地を生産しており、天然シルクや半シルク製品が含まれます。ウズベキスタンのシルクは、その製造方法や高い品質から「王様のシルク」を意味する「ハン・アトラス」の名にふさわしいものとされています。この中には、シルク糸をベースにしたショキ、ベカサム、アドラスといった生地も含まれています。

工場を訪れると、絹の製造工程全体を間近で見学することができ、さらに、様々な絹織物や半絹織物を購入することも可能です。

2015年8月、フェルガナ盆地とヨドゴルリク絹工場を訪れた観光客、ステファニー・ミッチェルによる記事が、Handwoven誌の5月/6月号に掲載されました。この記事では、絹の伝統や職人技について詳しく紹介されています。

マルギランの「ヨドゴルリク」シルク工場での製造工程
マルギランの「ヨドゴルリク」シルク工場での製造工程
マルギランの「ヨドゴルリク」シルク工場での製造工程
マルギランの「ヨドゴルリク」シルク工場での製造工程
マルギランの「ヨドゴルリク」シルク工場での製造工程
マルギランの「ヨドゴルリク」シルク工場での製造工程