イシュラトハナ廟、サマルカンド
サマルカンドの南東部には、イスラム建築の中でも特に神秘的な建造物の一つであるイシュラトハナ廟があります。この建物の用途については諸説あり、貴族出身の女性が埋葬された場所であると推測する人もいます。建物は一度も大規模な改修を受けていませんが、廃墟となった現在でもその調和のとれた美しさは人々に強い印象を与えます。
霊廟が放棄された理由については、伝説が語り継がれています。タメルラン(ティムール)の孫ウルグベクが星占いを行ったところ、祖父アミール・ティムールがイシュラトハナでの祝宴の最中に危険に見舞われると予測されました。ウルグベクはこの予測を受けて剣を手に持ってホールに突入し、祝宴に参加していた者たちを急いで退避させました。最後の人物がホールを出た直後、地下から不気味な音が聞こえ、続いて大地震が発生しました。イシュラトハナのアーチが崩壊し、ほんの少し前までティムールとその一行がいた場所まで瓦礫が達しました。この出来事以降、建物は再び修復されることはありませんでした。