シェル・ドル・マドラサ、サマルカンド
シェル・ドル・マドラサ(シェルドル)は、1619年から1636年にかけてサマルカンドのレギスタン広場に建設されました。その名前は「ライオンのいるマドラサ」という意味です。レギスタン広場の西側、ウルグベク・マドラサの正面に位置し、両者の間には約200年の歳月が流れています。シェル・ドル・マドラサは規模や面積においてはウルグベク・マドラサを上回っていますが、建築の仕上げにおいては「兄貴分」ともいえるウルグベク・マドラサには及ばないと言われています。
このマドラサの外装と内装は、鮮やかな色彩の光沢あるレンガで装飾され、壁面や塔は植物模様やコーランの引用を含む華やかなマヨリカ焼きで覆われています。しかし、科学者や歴史家、修復家たちの尽力にもかかわらず、建築当初の外観の一部は取り返しのつかないほど失われています。
シェル・ドル・マドラサの建築様式はウルグベク・マドラサとほぼ同様で、広い中庭、学生用のフジュラ(居室)、そして教室を持つ四角形の構造です。当時の最新建築技術を用いて建てられたことから、シェル・ドル・マドラサは当時の「近代的な」建築物と見なされていました。この壮大な建築物は、一連の独特な構造的特徴を持ち、サマルカンドにおける優れた建築遺産の一つとなっています。
さらに、シェル・ドル・マドラサにはいくつかの特徴があります。入口上部のアーチ中央には、古くから豊穣と繁栄の象徴とされてきたスワスティカの模様が描かれています。また、アーチの両側には太陽を背負った虎の姿が刻まれています。
シェル・ドル・マドラサは、その長い歴史の中で度々修復されてきました。最も大規模な修復は20世紀初頭にソビエトの建築家たちによって行われ、その中で特に有名なのはシューホフによるものです。現在では、シェル・ドル・マドラサはサマルカンドを象徴する主要な観光名所の一つとなっています。2001年には、ユネスコの世界遺産に登録されました。