キルギス―イシク・クル
イシク・クル湖について
イシク・クル湖は、海抜1609メートルにある、世界で2番目に大きい高山湖です。山に囲まれているにもかかわらずイシク・クル湖は決して凍ることがなく、その名はキルギス語で「熱い湖」を意味しています。湖自体は、自然保護区に指定されている湿地帯、2つの山脈、カラコルやチョルポン・アタを含む多くの人気のあるリゾート地や観光地に囲まれています。
イシク・クル湖周辺には、チョルポン・アタのペトログリフから、湖の深さや形は地震の影響で変わってきたた水の中に眠る建物や都市の遺跡まで、多くの遺跡が残っています。イシク・クル湖の湖岸は人口が多く、旅行者や商人の間で有名でしたが、イシク・クル湖は19世紀にロシアの探検家が来るまではヨーロッパでは知られていませんでした。しかし、中国では紀元前1世紀にイシク・クル湖に関して書かれた書物が残されています。イシク・クル湖南岸のバルスハンは中国のバデルを通ってきた人々にとって人気の場所だったといわれています。
15世紀ごろからシルクロードの勢いが失われ、それと伴ってイシク・クル湖は徐々にその存在感を失っていきました。1856年、ピョートル・セメヨノフーチャンーシャンスキは2年間の遠征でイシク・クル湖の湖畔を訪れ、彼の出身地ロシアでイシク・クル湖の存在感を高めました。ソビエト時代には、東端が軍事基地として利用されるようになったことで、イシク・クル湖は活気を取り戻し、湖畔には軍事基地以外にも多くのリゾート地がオープンしました。
イシク・クル湖のリゾートと見どころ
イシク・クルは多くのリゾート、スパ、観光地で知られており、これらすべての要素が合わさって現地人と観光客の両方からキルギスで最も人気のある地域の一つとなっています。
湖の北側には日向という意味のクンゲイ山脈アラトー山地があり、南側には日陰という意味のテルスキー山脈アラトー山地があります。湖の周りには、ビシュケクからの高速道路が通っているボーム渓谷を含む有名な渓谷がいくつかあります。湖の北側にはグリゴレフカ峡谷とクルチュン峡谷、南側にはバルスコーン峡谷とフェアリーテール(スカースカ)峡谷があります。湖の東端にあるカラコルの近くには、赤い砂岩で有名なジェティ・オグズがあります。アルティン・アラシャンは、トレッキングに加えて、疲れた筋肉をほぐしてくれる温泉があります。多くのトレッキングはカラコルを出発して周辺の山々に向かいますが中にはキルギスで最も高い2つの山であるハン・テングリやポベダ峰にまで達するものもあります。
イシク・クル湖の湖岸線の多くの部分が砂浜であるため、夏には多くの人が夏の暑さを忘れるためにイシク・クル湖に集まります。また、一部が湿地帯であることからイシク・クル湖は湿地帯保護区とユネスコ生物圏保護区に指定されています。また、湖畔には温泉や塩湖があり、健康やスパを求める人たちに人気があります。南岸にある塩湖は、死海のような塩分濃度の高い水で知られており、塩湖を体験したり、薬用として利用されています。
イシク・クル湖はソ連時代から観光が盛んに行われ、海岸沿いにリゾートやホテルが建設されてきました。現在ではユルタキャンプから高級リゾート、コテージまで、様々な宿泊施設があります。チョルポン・アタは夏になると多くの観光客で賑わい、野外のペトログリフ博物館にも多くの観光客が訪れます。チョルポン・アタとカラコルには、イシク・クル湖の歴史を伝える遺物が展示されている博物館があります。冬のカラコルはスキー場で有名で、その他にも木造教会とドゥンガンモスクは、イシク・クル湖周辺の豊かな歴史に興味がある人には欠かせない場所となっています。