キルギス―ソンクル湖
ソンクル湖はキルギスで最も有名な高山湖の一つです。海抜3016mの標高にあるソンクルは、透き通るほどの青さの湖で、遊牧民が家畜の放牧のために長い間使用してきた広大で肥沃な牧草地に囲まれています。ソンクル湖には6月から9月初旬までの夏の間しかアクセスできず、それ以外の期間は雪や氷が道を塞いでしまうためアクセスできません。また、周辺の山々は乗馬やトレッキングに最適です。コチコルから100km、ビシュケクからは300kmの場所に位置しています。ビシュケクからソンクルへの道は約6-7時間かかり、道の多くは舗装されていますが一部は舗装されておらず、秘境というイメージにぴったりの場所となっています。
冬になるとソンクル湖周辺の気温は-20℃にまで下がり、年間を通して約200日は雪が降ります。冬の間、羊飼いたちはコチコル、アトバシ、ナリンなどの近くの都市で家畜の世話をします。寒い冬の間は羊飼いすらもいないソンクル周辺には止まる場所もなく、湖自体にはほとんどアクセスできません。春の終わりにソンクル湖の氷が解けた後、羊飼いたちは湖の周りの広くて豊かな牧草地であるジャイローに移動します。ソンクル湖の周辺は何世紀もの間移動式住居であるユルタ以外は建てられず、今でも昔ながらの遊牧民の生活を体験することができます。
ソンクル湖周辺は標高が高いため夏でも比較的肌寒く、平均気温は11℃ほどのため、夜には氷点下になることもあります。唯一の建物であるユルタには小さなストーブがあり夜に暖をとることができますが、周辺には電気も水道もありません。このためソンクル湖は遊牧民のような生活をしたい人には最高の目的地となっています。ユルタには分厚いマットレスと毛布が敷かれていて、屋外トイレも近くにあります。観光客のために特別に組まれたユルトキャンプと地元の羊飼いのユルタは別々となっています。地元の人たちは事前に連絡しなくてもフレンドリーで歓迎してくれる人が多いですが、宿泊する場所と食事を確保するためにも事前に計画を立てておくことをお勧めします。
ソンクル湖周辺は湿地帯と山々が連なっており、生態系も豊かです。湖の周りは高山地帯のため、木は生えていませんが、薬効のあるハーブや植物がたくさん生えています。ソンクル湖周辺にはハヤブサやイヌワシなどの鳥類が多く生息しており、周辺のさらに高い山々には鹿、キツネ、マルコポーロと呼ばれるヒツジの仲間、ユキヒョウ、オオカミなどが生息しています。ソンクル湖周辺の山は、ハイキングや乗馬をするにはもってこいの景色で、湖の周辺にあるユルタキャンプを拠点にして長期間のトレッキングや日帰りでもできるハイキングを楽しむことができます。