カザフスタンのユネスコ世界遺産

カザフスタンとユネスコ世界遺産

カザフスタンは1992年にユネスコに加盟し、2003年に初めてユネスコ世界遺産リストに登録された場所が、ホジャ・アフメド・ヤサウィ廟でした。現在、カザフスタンにはユネスコ世界遺産として登録された6つのサイトがあります。これらの遺産は、カザフスタンの豊かな歴史、文化、自然の遺産を象徴しています。

ユネスコ世界遺産リストに登録されたカザフスタンの遺産

• ホジャ・アフメド・ヤサウィ廟 (2003年登録)
• タンバリーの考古学的景観の岩絵 (2004年登録)
• サリ・アルカ北カザフスタンのステップと湖(2008年登録)
• シルクロードチャンアン – ティエンシャン回廊のルート網 (2014年登録)
• 西ティエンシャン山脈 (2016年登録)
• トゥラン寒冷砂漠 (2023年登録)

ホジャ・アフメド・ヤサウィ廟

ホジャ・アフメド・ヤサウィ廟は、かつてヤスィと呼ばれていたカザフスタンの都市トルキスタンに建設されました。この霊廟は、スーフィー詩人であり、預言者ムハンマドの信奉者であったホジャ・アフメド・ヤサウィのために建てられたもので、14世紀末から15世紀初頭にかけて造られ、ティムールによって発注されました。建物は未完成の部分もありますが、カザフ民族の文化遺産を象徴する独特の建築物です。

この霊廟には、その後ウズベキスタンのサマルカンドで活用された建築技法が取り入れられています。建物は35の部屋と多くのヴォールトやドームで構成され、コーランの碑文や壁画で装飾された焼成レンガ造りの建築物です。特に、主ホールの上にあるドームは中央アジア最大級とされています。霊廟の敷地内には、地下モスク、古代の浴場、ティムールの孫娘ラビア・スルタン・ベギムの霊廟も含まれています。ヤサウィ廟は人類の創造性の傑作とされ、ティムール朝時代の建築の卓越した成果を示すものであり、中央アジアにおけるイスラム建築の発展に大きな影響を与えました。

タンバリーの考古学的景観における岩絵

20世紀半ばに発見されたタンバリ渓谷（アルマトイ州）の岩絵は、チュイ＝イリ山脈の南東に位置しています。紀元前2千年紀後半を中心とするこれらの岩絵は、約5,000点におよび、場所ごとに7つのグループに分類されています。

岩絵には、狩猟の場面、戦士、動物、出産する女性、結婚するカップル、神々、供犠の儀式が描かれています。また、岩絵が集中している地域は、祈祷や供犠のための祭壇があったことを示唆しています。さらに、中期・後期青銅器時代の古墳や住居跡も岩絵の近くで発見されています。興味深いことに、新しい絵が古い絵の上に重ね描きされているものもあります。

サリアルカ – 北カザフスタンの草原と湖

このユネスコ世界遺産には、ナウルズム国立自然保護区とコルガルジン国立自然保護区の2つの広大なエリアが含まれており、希少種や絶滅危惧種の生息地となっています。カザフスタンは、ヨーロッパ、南アジア、アフリカからシベリアへと渡る渡り鳥にとって重要な中継地となっています。

また、ユネスコは中央アジアの草原20万ヘクタールを保護しており、この地域には多様な動植物が生息し、いくつかの湖も存在しています。これらの地域では、自然の生態系や生物学的なプロセスがほぼ手つかずのまま残されています。

シルクロード：長安－天山回廊の交易路網

このユネスコ世界遺産は全長5,000kmにおよび、カザフスタン、キルギス、中国の3カ国にまたがっています。この回廊は、かつて複数の中国王朝の都であった長安（現在は消滅した都市）を起点とし、カザフスタンのジェティス（セミレチエ）地方に至ります。紀元前2～1世紀から16世紀まで機能していました。一部のルートは8,700km以上に及び、さらに総延長が3万kmを超える区間も存在しました。

カザフスタンと中国を結ぶこの道は、交易だけでなく、宗教、科学、文化、芸術の交流の場ともなりました。長安－天山回廊沿いには、古代の建築物や街道、石窟仏教寺院、中国の万里の長城の一部、陵墓、山岳地帯の峠、湖、砂漠、交易都市、隊商宿（キャラバンサライ）などが点在しています。

特にカザフスタンの主要な遺跡は、アルマトイ州のタルガル、カラメルゲン、カイラク、およびジャンブール州のアクルタス、アクトベ、コストベ、ステプニンスコエ、オルネク、クランに存在しています。これらの交易路は高度差が大きく、最低地点は海抜マイナス154m、最高地点は7,400mに達します。

西天山

世界的に有名な天山山脈の一部である西天山は、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンの3カ国にまたがっています。カザフスタンの世界遺産としては、カラタウ自然保護区、アクス＝ジャバグリー自然保護区、サイラム＝ウガム国立公園の3か所が登録されています。

アクス＝ジャバグリー自然保護区はカザフスタンで最も古い保護区で、1926年に設立されました。ここには、ユキヒョウやメンジビラマーモット、アルガリの固有亜種など、10種類の哺乳類が生息しており、これらはレッドリストに登録されています。

カラタウ自然保護区は34,000ヘクタール以上に及び、カラタウアルガリ、イワイタチ、インドヤマアラシ、クロコウノトリ、ヒメクマタカ、イヌワシなどの希少な動植物が生息しています。また、1,600種類以上の植物が確認されています。

サイラム＝ウガム国立公園は、7つの自然ゾーンを含み、約60種類の哺乳類、約300種類の鳥類、1,600種類以上の植物が生息し、そのうち240種がレッドリストに登録されています。

温帯地域のトゥラン砂漠

ユネスコ世界遺産に登録されているトゥラン砂漠は、複数の国にまたがる国際的な重要性を持っています。この広大な砂漠は、トルクメニスタンとウズベキスタンの両国で保護されています。カザフスタン側では、キジルオルダ州のバルサケルメス国立自然保護区とアルマトイ州のアルティン＝エメル国立自然公園が世界遺産に含まれており、これらの地域の独自の砂漠生態系の保護が国際的に求められています。

カザフスタンの文化遺産：ユネスコ暫定リストから削除された遺跡:

• ベガズィ＝ダンディバエフ文化の巨石墳墓（1998年登録、暫定リストの更新に伴い削除）
• タスモリ文化の石環墳墓（1998年登録、暫定リストの更新に伴い削除）
• カラタウ山脈の旧石器遺跡群と地形学（1998年登録、暫定リストの更新に伴い削除）
• オトラル・オアシスの考古遺跡（1998年登録、2021年に「大シルクロード：フェルガナ＝シルダリヤ回廊」の暫定リスト追加に伴い除外）
• アルティン＝エメル国立公園（2002年登録、2021年に「トゥラン温帯砂漠地帯」の暫定リスト追加に伴い除外）
• 大シルクロード（2012年登録、2021年にシルクロード回廊遺産の分割に伴い除外）

カザフスタンのUNESCO世界遺産は、異文化・文明間の対話を促進する役割を果たしている。ホジャ・アフメド・ヤサウィ廟、西天山、サリ＝アルカ、長安＝天山回廊、タンバリーの岩絵群などには、世界中から多くの観光客が訪れている。

カザフスタンの無形文化遺産についてもっと詳しく知りましょう。