試すべき伝統的なキルギス料理
キルギスの人気料理
現代のキルギス料理は、古代の遊牧民の伝統を受け継ぎながらも、新しい食材を取り入れつつ進化してきました。今日でも、キルギス料理には肉、乳製品、パン製品が多く使われていますが、野菜、米、甘いお菓子も含まれています。ここでは、キルギス滞在中にぜひ試していただきたい10の代表的な料理をご紹介します。
アシュリャム・フー
アシュリャム・フーは、キルギスで最も人気のある料理の一つで、観光客にも地元の人々にも広く好まれています。独特な名前と同じくらい、味も魅力的で、旅行中に何度も食べたくなる料理です。アシュリャム・フー（アシュリャンフー、アシュリャムフーとも呼ばれる）は、18世紀半ばにドゥンガン族の料理としてキルギスに伝わった冷たいスープです。「アッシュ」はキルギス語で「食べ物」を意味し、ドゥンガン人が話す中国語では「リャンフェン」は冷麺料理の名前です。キルギスのスープは、中国のものと異なり、でんぷんだけでなく、肉、麺、卵、野菜のスープも加えられます。辛いものが好きな方は、赤唐辛子とひまわり油を使ったスパイシーな調味料「ラジー（ラジャン）」を加えてみてください。最高のアシュリャム・フーはカラコルの町で提供されており、揚げたポテトパイと一緒に食べるのが一般的です。
タシュ・コルド
タシュ・コルド（石料理）は、キルギスで古くから知られる料理の一つです。この料理では、若い子羊の肉を熱した石の上で調理します。これは、オーブンが発明される前の伝統的な調理法の一つです。キルギスの遊牧民は、1～2メートルの深さの穴を掘り、石と木を敷いて火を起こします。火が消えて炭ができたら、肉を塩で味付けし、洗った羊の胃袋に入れて、土や皮、大きな葉で覆います。この伝統的な調理方法のおかげで、5～6時間かけてじっくりと肉が焼き上がります。現在、タシュ・コルドはオーブンまたは伝統的な石の穴で調理されます。最近では、肉を穴で調理する際に、羊の胃袋に入れるのではなく、特別なフックに吊るして調理することが一般的です。タシュ・コルドは、キルギスでは今でも特別なご馳走とされています。
シシケベク
シシケベクは、キルギスの伝統的なシシケバブの一種で、もともとはレバーを使用して作られていました。この料理の最初の記録は、5世紀から8世紀にかけてのオルホン・エニセイ碑文に見られます。今日では、シシケベクは若い動物の肉（レバーではなく）を使用し、玉ねぎに漬け込んで作られます。玉ねぎが多いほど、ケバブはジューシーに仕上がります。最も美味しいシシケベクは、ブドウやラズベリーの小枝を使って炭火焼きしたものです。これらが手に入らない場合は、オーク、シナノキ、リンゴ、サクランボ、アプリコットの木の枝を使用します。ただし、針葉樹の枝（トウヒ、モミ、マツなど）は避けるべきです。これらは肉に不快な風味を与えるためです。シシケベクは調理中に頻繁にひっくり返し、焼き上がったら酢、玉ねぎ、サラダと共に提供されます。
マクシム
キルギスの伝統的な飲み物であるマクシムは、「液体のパン」とも呼ばれます。これは、空腹と喉の渇きを同時に癒す飲み物だからです。マクシムは水、小麦粉、サワードウ、塩、小麦、キビ、トウモロコシ、大麦などの砕いた穀物を使用して作られます。完成した飲み物は灰褐色をしており、焙煎した穀物の香ばしい香りが特徴です。マクシムの作り方にはさまざまなバリエーションがあり、都市や家庭ごとに風味が異なります。一般的な作り方としては、オート麦を熱湯に入れ、塩を加え、かき混ぜながら沸騰させます。混合物が少し冷めたら、サワードウと小麦粉を加え、ボウルに注いで涼しい場所に8～10時間ほど置きます。マクシムは、キルギスの中でも特に健康的な伝統飲料のひとつです。ビタミンB1、B2、B3（ナイアシン）、ビタミンC（アスコルビン酸）を含んでおり、ビタミンB群は神経系と視力の健康維持に寄与し、ナイアシンはコレステロール値を下げる効果があるとされています。また、ビタミンCは血管を強化し、血液の健康をサポートします。飲む前には、マクシムをよくかき混ぜるのがポイントです。
シュルガン
キルギスの料理には、赤身の肉や穀物だけでなく、乳製品も豊富に使われています。国内には乳製品を使った料理が数多くあり、その多くは近隣諸国でも見られますが、シュルガンはキルギス特有のユニークなミルクスープです。レシピは非常にシンプルで、玉ねぎをギーで黄金色になるまで炒め、牛乳を注ぎ、塩を加え、沸騰させて10～15分間煮込むだけです。冬場には玉ねぎが使われることが多いですが、暖かい季節には新鮮な野菜を加えることもあります。シュルガンは、伝統的にはボウルまたは皿の底に小さなフラットブレッドを敷き、その上から注いで提供されます。
オロモ
キルギスで最も伝統的な料理の一つであるオロモの美味しさの秘密は、薄く繊細な生地にあります。生地を薄く伸ばし、その上に具材を乗せ、らせん状に巻いて蒸し上げます。オロモに最も適した具材については、いまだに議論が続いています。ジャガイモと玉ねぎの組み合わせが最適だと考える人もいれば、ひき肉と玉ねぎの組み合わせが最高だという意見もあります。一部のシェフは、バリエーションとして、肉、ジャガイモ、玉ねぎを組み合わせたオロモを作ることもあり、この組み合わせが特に人気です。また、ニンジンや季節のカボチャを使ったオロモもあり、野菜の甘みが加わることで異なる味わいを楽しむことができます。
ホシャニ
ホシャニは、ウイグル料理の影響を受けてキルギスに伝わった、ひき肉を詰めたパイです。生地は発酵させないもの、またはイーストを使用したものがあり、小さく切って伸ばします。中心には、ラム肉または牛肉の細切り、玉ねぎ、スパイス、時には脂肪を混ぜた具材を詰めます。各ピースは、マンティ餃子のように端を折り畳みますが、マンティとは異なり、黄金色になるまで揚げて仕上げます。ホシャニは、発酵乳飲料や、唐辛子と油を使ったスパイシーな調味料であるラジー（ラズジャン）とともに提供されることが多いです。
カッタマ（カトラマ）
カッタマは、キルギスのパンの一種で、サクサクとした外皮に包まれた、柔らかく薄いトルティーヤに似た料理です。カッタマのレシピは、13世紀に中国で発明されて以来、約800年の歴史があると考えられています。キルギスでは、発酵させない生地を使用する場合もありますが、イーストを加えた生地で作るカッタマの方がよりふんわりとした仕上がりになるとされています。生地を薄く伸ばし、揚げた玉ねぎを加えた後、らせん状に巻き、再び伸ばして最後に油で揚げます。メインコースの前にこの薄いパンをゲストに提供すると、温かい料理が出る前に満腹になってしまうことがあるため、適量を考慮して提供することが重要です。
ジューラト
ジューラトは、羊や山羊のミルクから作られるキルギスの伝統的なヨーグルトです。作り方は、ミルクを沸騰させた後、室温まで冷まし、酵母を加えて発酵させます。その後、容器を覆い、暖かく乾燥した場所で数時間置いて完成させます。キルギスの年配の世代は、ジューラトやその他の乳製品を、揚げたブールソックや平らなパンと一緒に食べるのを好みます。一方で、若い世代は、ヨーグルトにフルーツやベリーを加えてアレンジすることを楽しんでいます。
ジャンサック
キルギスの伝統的なデザートの一つであるジャンサックは、何世紀にもわたって親しまれてきました。このデザートには、ギー、ナッツ、大量の蜂蜜が含まれています。ナッツが大きい場合は、事前に砕いて使用します。調理の手順として、ギーを乾いた冷たいフライパンに注ぎ、強火で加熱し、少し煙が出るまで温めます（ただし、ギーを沸騰させないよう注意が必要です）。次に、熱したギーを乾いた皿に移し、ナッツと蜂蜜を順に加えてよく混ぜ合わせます。最後に、混ぜた材料を成形し、完全に固まるまで放置して仕上げます。
これらの伝統的なキルギス料理は、料理に挑戦するのが好きな方なら自宅でも作ることができますが、調理には時間がかかるものもあります。理想的なのは、実際に中央アジアを訪れ、熟練したシェフが作る本場の味を堪能することです。その後、自宅でお気に入りのレシピを再現し、家族や友人と一緒に楽しむのも素晴らしい経験となるでしょう。