カザフスタンの乳製品

カザフスタンの乳製品は「アク・アス（白い食べ物）」と呼ばれ、古くから地元の食文化の中心を担ってきました。遊牧生活の厳しい環境では新鮮な牛乳の保存が難しかったため、カザフスタンの料理には発酵乳製品が多く含まれています。

クムス （クミズ）は馬の乳を発酵させた泡立つ飲み物で、甘酸っぱい風味が特徴です。クムスにはいくつかの種類があり、主にアルコール度数の高い強いクムスと、弱いクムス（サウマル）があります。その他にも、初乳から作られる濃厚なウイズ、4〜5日間発酵させたベスティ、秋に作られる健康的な黄色いクムスであるサルィなどの種類があります。

カザフスタンのクムスは特別な革製や木製の樽で作られ、1〜2日間かけて専用の棒でかき混ぜます。クムスは時間が経つとその効能が失われるため、できたてを飲むのが一般的です。本物のクムスには水を含め、何も加えられません。

クムスには多くの健康効果があり、結核、胃炎、貧血、腸チフス、心血管疾患、膵臓の問題などの治療に使われます。しかし、胃腸の病気が急性期にある場合は飲まない方がよいとされています。

シュバット は発酵させたラクダの乳から作られる濃厚な飲み物で、軽い酔いを引き起こすことがあるため注意が必要です。シュバットは特別な革製、木製、または陶器の容器で作られ、2〜3日間寝かせると最も美味しくなります。南カザフスタンでは「クムラン」、東カザフスタンでは「トゥイェ・クムス（ラクダのクムス）」と呼ばれることもあります。

クルトは牛乳や羊乳を発酵させて作る乾燥した酸味のあるボール状の食品です。木製の樽に注がれた発酵乳が凝固すると、鍋に移して沸騰させ、かき混ぜながら濃縮させます。その後、冷やして布袋に入れ、余分な水分を取り除きます。最後に、直径2〜5センチほどのボール状に丸めて乾燥させます。クルトは子どもに人気があり、長期間保存できるのが特徴です。

イリムシクもカザフスタンの乳製品の一種で、わずかに甘みのあるカッテージチーズです。牛乳、羊乳、ヤギ乳から作られます。アク（白）イリムシクは、新鮮なカッテージチーズにバターを加えたもので、保存期間が短いです。一方、クズィル（赤）イリムシクは長時間加熱してから天日干しし、長期保存が可能なものです。

カティクは、羊乳、牛乳、ヤギ乳を発酵させた濃厚な乳製品です。牛乳を沸騰させた後、発酵種を加えて混ぜ、数時間温かい場所で寝かせて作ります。

アイランは、馬乳、羊乳、ヤギ乳から作るケフィアの一種です。作り方は、牛乳を沸騰させ、発酵種を加えてよく振り混ぜ、数時間置くというものです。アイランは作った後24時間以内に飲むと、最も効果があるとされています。

カザフスタンの乳製品には、アイラン、シュバット、クムスの派生品であるコイルトパクやシャラプもあります。コイルトパクは牛乳と1:1の割合で混ぜたもの、シャラプは水と等量に薄め、塩やハーブを加えたものです。