ジェティ・オグズ岩、キルギス
ジェティ・オグズは、カラコルの南西約25キロ(15マイル)に位置する赤い砂岩の岩山です。名前はキルギス語で「7頭の雄牛」を意味し、その形状が7頭の雄牛に似ていることに由来しています。この岩山は自然記念物として保護されており、その独特の形状と色彩から観光客に人気のある場所です。
ジェティ・オグズの岩については、悲劇的な伝説が語り継がれています。昔、あるキルギスのハンが他のハンの妻を奪いました。奪われたハンは復讐を求め、賢者に助言を仰ぎます。当初助言を渋った賢者でしたが、最終的に「その妻を殺してライバルに渡すべきだ」と提案しました。ハンは賢者の助言に従い、計画を立て、葬儀の宴席で奪った妻の隣に座るよう手配しました。儀式のために最後の7頭の雄牛が屠殺されている最中、ハンはナイフを取り出して妻を刺しました。妻の心臓から噴き出した血は、雄牛たちを谷底へと押し流し、彼らが辿り着いた場所で赤い岩へと姿を変えたと言われています。
ジェティ・オグズへの道中には、「壊れた心臓」と呼ばれる別の岩があります。この岩には、美しい女性と2人の求婚者の悲恋の伝説が残されています。求婚者たちは彼女を巡って争い、互いに命を落とし、その悲しみから女性も心臓を痛め亡くなったと言われています。この「壊れた心臓」と「7頭の雄牛」の岩は、イシク・クル地方を象徴する風景として多くの写真や絵画に収められています。
ジェティ・オグズ村には、紀元前7〜5世紀にかけて築かれた古代の墓地と墳丘墓があります。これらの墳丘墓は、直径16~28メートル(52~92フィート)、高さ1.7~3メートル(5.5~10フィート)に及びますが、かつてはさらに大きかったとされています。また、谷を少し進んだ場所には、1932年に建てられたジェティ・オグズ・サナトリウムがあります。この施設は、1991年にキルギスのアカエフ大統領とロシアのエリツィン大統領が初会談を行った歴史的な場所でもあります。
ジェティ・オグズ療養所の南約5キロ(3マイル)には、「花の谷(ドリーナ・スヴェトフ)」があります。この谷では、5月から初夏にかけてケシをはじめとする多くの花々が咲き乱れ、訪れる人々を魅了します。自然豊かな風景と共に、静寂の中で散策を楽しむことができます。