ジョージアの聖ジョージの日
11月23日
ジョージアにおける「聖ジョージの日(ジョルゴバ)」は、同国の守護聖人である聖ジョージ(聖ゲオルギオス)の殉教を記念する重要な祝日です。
聖ジョージは、カッパドキア(現在のトルコ領)出身のギリシャ系ローマ人の兵士で、ローマ皇帝ディオクレティアヌスに仕える近衛兵でした。彼はキリスト教に改宗したことにより迫害を受け、最終的に殉教したと伝えられています。現在では、聖ジョージは正教会において最も広く崇敬されている聖人の一人であり、特に騎士、兵士、軍隊の守護聖人として知られています。伝説によれば、聖ジョージは人間の生け贄を要求していたドラゴンを退治したとされ、その物語はキリスト教世界において象徴的なものとなりました。そのため、キリスト教の聖像画や彫刻においては、聖ジョージがドラゴンと戦う姿で描かれることが多く見られます。
一般に誤解されがちですが、「ジョージア」という国名は聖ジョージに由来するものではありません。この名称は、ペルシャ語で「狼」を意味する「グルジ」または「グルジャン」に由来する「グル」という語から、英語に転訛したものとされています。とはいえ、ジョージア人の聖ジョージへの信仰は深く、その歴史は中世初期にまで遡ります。国内には聖ジョージに捧げられた教会が少なくとも365カ所あり、これは1年の各日に1つずつ存在するという象徴的な意味を持ちます。また、聖ジョージは12世紀にジョージ3世の時代に国章に描かれて以来、国家の象徴として受け継がれてきました。現在でもジョージアの国章には、馬に乗り、槍でドラゴンを討つ聖ジョージの姿が描かれています。
ジョージアでは、守護聖人である聖ジョージを年に2回、5月6日と11月23日に記念しますが、公式の祝日として認められているのは11月23日だけです。伝承によれば、4世紀に聖ニノが聖ジョージを称える最初の祭りを始めたとされており、一部の人々の間では、聖ニノと聖ジョージが実は従兄弟であった可能性もあると推測されています。
現代のジョージアにおける聖ジョージの日には、全国の教会で鐘が鳴り響き、司祭たちが聖ジョージの加護を祈願する特別な典礼を執り行います。聖ジョージの殉教という厳粛な出来事を記念する日である一方で、「ジョルゴバ」は多くの家庭や地域で、家族や友人とともに祝宴を囲み、伝統的な歌や踊りを楽しむ、喜びに満ちた祝祭の日としても広く親しまれています。